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作家としての歩み 前編

執筆者の写真: rurirurikakesururirurikakesu

更新日:2021年3月9日


「いつからあみぐるみを編んでいるんですか。」


「編み始めたきっかけは何ですか。」



インタビューを受けると必ず聞かれる。


知らねーわそんなこと。

昔のことなんざ覚えてねーわ。


そう思いながら受け答えする。


実際記憶はあやふやで、自分に対しても捏造してるんじゃないかと思う。



公式としては


「2000年ごろから編み始めました。」


「きっかけはタカモリトモコ先生がNHKで紹介されていたのを見て、見よう見まねで始めました。」


というところです。以後、ご参照ください。




誕生秘話的に検証してみる


だがしかし、たった今調べたところ、タカモリトモコ先生がNHKおしゃれ工房に連載されていたのは1998年とのことなので、おそらく私が始めたのもそのころ。

あみぐるみブームがやってきた(他の名だたる作家さんが始めたと言ってる時期)もその辺なので、1998年なのだろう。まぁいいじゃないか四捨五入すれば2000年だ。



サルベージできた中で最も古い画像。2002年。おたまブームに乗っかってイベント参加していた。



始めたころはまだ学生で、毛糸を買うのもやっとだった。

安売りされているものをとりあえず値段だけ見て買っていたので、ウールとかアクリルとかコットンとか言われても呪文の一部にしか聞こえない。


かろうじてかぎ針を持ったことはあったけれど、小学生時代に祖母にくさり編みを教わった程度。

テレビを見てなんとなく編み進め方が分かった気がしたので編み進めていたが、思えばしばらくは引き抜き編みのまま立体を編んでいたかもしれない。

(通常、あみぐるみは細編み(こまあみ)という編み方で編む。引き抜き編みは細編みよりも一工程少ないため編み地に高さが出ず、いつまでも進まなかったことだろうと推察される。)


わからないところが出てきても当然テキストを買う余裕もなく、必殺技は「本屋で立ち読み」。

店内で目的の編み方を頭に叩き込み、忘れないようにそうっと記憶を持ち帰って編んで身に付ける。技を見て盗む、ってやつですね。(たぶん違う)



突然の目覚め


フェルトでマスコットを作るとか、端切れで袋物を作るとか、いわゆる手慰みの手芸として始めたはずなのだがなぜそれが続いたのかというと、


金を取る


という行動に目覚めてしまったからだと思われる。



適当にクマだのウサギだの作って喜んでいた私にある日、友人が言ったのだ。

「人にあげたいからリクエストで作って。金は払うから。」


カネハハラウカラ。


ここです。ここ、分岐点です。テストに出ます。



友人としてはおそらく私の貧乏っぷりを知っていたので、毛糸代くらいは出すから、という意味だったのかもしれない。あとちょっとした手間賃。通常なら「今度お昼おごるから作って」レベルの気軽さだったであろう。


しかし気付いてしまったのです。

300円の毛糸で作ったあみぐるみを1000円で売れば、またあと二体分の毛糸が手に入る。

Yes,自転車操業。

しかし赤字にはならない。

赤字にならないということは、続けていいという理由になる。



こんな感じのものを売りつけていた。思えばひどい話だ。



ぽぽぽ本舗爆誕


多少なりとも自分の手仕事に金銭が支払われるという事実を知ってしまったおさるさんは次に何を始めるのか。


そうです、大量生産です。


作る→材料代かかる

作って売る→少し儲かる

たくさん作って売る→たくさん儲かる


これ、自然の摂理(のはず)です。


時は戦国、インターネット黎明期。

テレホーダイタイムに眠い目こすって探せば、あみぐるみの即売イベントが見つかるのです。


何体か編んで出品してみよう。10体編んで5体売れたとしたら、参加費を差し引いても少しは黒字になるはず。




売れるはずないんですけどね。




最初は送り込んだあみぐるみが全部返却されて来ていました。

めげずに何度か続けるうちに1,2体売れるようになり、やがて完売必至の大人気作家に…はならないのですが、「まぁ経済面を理由に辞めるというほどではないか」というレベルに。(だが赤字です)


さて、イベントに出品するとなるとブランド名を考えなくてはいけない。

時は戦国。インターネット黎明期。ハンドルネームなるものはありましたが、さすがにブランド名は持っていない。ていうかブランドって。セレブかよ。(まだ「セレブ」という言葉もない)


そこでどうにか考えたのが「ぽぽぽ本舗」でした。




ぽぽぽとは、毛糸をほどくときの音。




マーガレットコミックス『永遠の野原』(逢坂みえこ)の中で、とある女の子が家庭教師の先生に渡すひざ掛けを編んではほどき、編んではほどきしているときの音なのです。

当時私が呼ばれていた名も「ぽ」が付いていたので両方から取りました。


まさかそんな名前で二十年以上も活動を続けることになろうとは、お天道様でもわかりゃしめえってもんだ。




その後、ぽぽぽが現在のぽぽぽっぽくなってきたのはなぜか、というのは次回に続きます。



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